なんであたし こんなところを 歩いているのかな
ひとりきりで初めて降りた 私鉄電車の駅

人波をすり抜けてる 明日は月曜日 また仕事なのにね
名前だけ聞いたハコをさがして 駆け出すキモチが もうとめられない
いつの間にかあたしに あなたの唄が住みついてた
涙ながす時も 思い切り笑う時も
はずむ息もないことにして まだまばらな席に座る
あたしを見つけたら嬉しそうな顔をしなさい
他のだれにも気づかれないようにね
なんであの日あたしのこと 思い出したりしたの
古いアルパムの中に居たのは あたしだけじゃなかったでしょ

でも嬉しかった あなたの下手なギターを また傍で聴けること
ざわめきが止んでステージに灯りがともり 高鳴るキモチが もうとめられない
瞳とじたあたしを あなたの唄が抱きしめてた
あの日二人で見た 海に吹いてた風のように
あなたの唄 言の葉 全部 胸にしまい最後に席を立つ
あたしを見つけたら嬉しそうな顔をしなさい
他のだれにも気づかれないようにね

あたしを見つけたら嬉しそうな顔をしなさい
他のだれにも気づかれないようにね

帰り道も 明日からも ひとりだって もう迷わないよ
あまり上手には歩いてはいけないけれど
あいかわらずだなって笑ったりしないでね

これがあたしだからね
あなたが好きになったあたしだからね


                             by eye-kugenuma-  2012.3

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